凝縮された映像知識とノウハウが満載の一冊
先日、何気なくamazonで買った「デジタル撮影技術 完全ブック 田中 一成 (著) 」は撮影知識や映像知識、ノウハウなど基礎から実践まで網羅されていて本当にすごい本です。
「デジタル撮影技術 完全ブック 田中 一成 (著) 」
今の時代は映像機器とツールの進化によって安価に映像制作ができるようになったため、誰でも映像の世界に飛び込めるようになりました。
でも、その人達がさらに表現方法を磨くにはどこかで撮影技術を学ぶ必要が出てきますが、映像を学ぶ学生をはじめ、映像脳撮影を学ぶ人達に向けて書かれたデジタル撮影の教科書というべき本になります。
著者の田中一成さんは大学で映像を教えはじめたときに、デジタル撮影と照明に関して参考書的な書物や技術書を探しても見つからなかったそうです。
フィルム撮影の解説したのものはあってもデジタル撮影に関しての専門書は殆ど見つからず、映像の照明は概論や機材の説明本はあっても具体的な映像の照明技術を解説した書物は皆無とのことでした。
「デジタル撮影技術 完全ブック」はそうしたきっかけを元に田中一成さんの経験と知識に基づいてまとめられた本になります。
私は映像配信業務に携わっていたこともありましたが、機材だけではなく色や照明、露出、レンズ、画角、撮影知識、映像知識、ノウハウ、概念などはぼんやりとしか分からず目の前のことを必死でこなす日々でした。波形モニターも基準内に収めようにもよく分からず、周りに助けられながらしていたのを思い出します。そのときにこの本があれば助けられたかもしれません。
気になるところから読み始めてますが、私のような未熟でも理解しやすく一つ一つがとても勉強になります。理解と実行までには時間がかかりますが、ずっと大事にしていく本の一つになります。
eスポーツでは小規模から大規模の大会で中継業務がありますが、よりクオリティの高い映像配信をしていくための基礎づくりにも役立つ一冊だと思います。
以下、目次ですがこれだけでもどれだけ凝縮された内容なのかが分かると思いますので、ぜひ手にとってみてほしいです。
デジタル撮影技術 完全ブック| 田中 一成 (著)
第1章|映像機器の変遷
(a)フィルムからデジタルキャメラへ
(b)機材の変遷
第2章|基礎知識編
1.光
(a)光の特性
(b)光と可視光線
(c)紫外線
(d)赤外線
2.色温度
(a)色温度とは
(b)色温度の設定
(c)ホワイトバランス
(d)色温度計(カラーメーター)
(e)ミレッド値
3.色彩
(a)色
(b)三原色と補色
(c)加法原色と減法原色
(d)色の表示
4.アナログ映像とデジタル映像
(a)アナログ映像とデジタル映像
(b)アナログからデジタルへの変換
(c)コンピューター処理
(d)撮影素子(センサー)
(e)デジタルキャメラの構造
(f)デジタル圧縮
5.デジタル撮影
(a)デジタルキャメラの規格
(b)センサーのサイズと画素数
(c)総画素数と有効画素数
(d)ガンマ
(e)インターレースとプログレッシブ
(f)ドロップフレームとノンドロップフレーム
(g)ゼブラパターン
(h)ピーキング
(i)ニーとニー・アパチャー
(j)輪郭補正
(k)ブラックガンマとブラックレベル
(l)ピクチャープロファイル
6.記録素材
(a)SDカード
(b)コンパクトフラッシュカード
(c)記録モードの選び方
7.露出計
(a)露出計と18%グレー
(b)入射式露出計
(c)反射光式露出計
(d)EV値
(e)計測する
8.露出とイメージコントロール
(a)露出を決める3つの要素
(b)絞り値とシャッタースピード
(c)ISO感度
(d)オート露出と露出補正
(e)適正露出とアンダー、オーバー露出
9.レンズ
(a)レンズの基礎知識
(b)レンズの画角変化
(c)標準レンズ、広角レンズ、望遠レンズ
(d)特殊なレンズ
(e)焦点距離
(f)焦点深度、被写界深度を決める3つの要素
(g)過焦点距離
10.照明
(a)反射素材
(b)反射鏡面の形状と反射光
(c)HMIライト
(d)LEDライト
(e)蛍光灯ライト
(f)タングステンライト
(g)高原の色分布と演色性
11.照明光の4要素
(a)光色
(b)光質
(c)方向性
(d)光量
12.3灯照明
(a)キーライト
(b)バックライト
(c)フィルライト
(d)その他のライトの種類
13.人物へのキーライト
(a)ブロードライティング
(b)レンブランド
(c)ループ
(d)スプリット
(e)バタフライ
14.照明比と画面の印象
(a)照明比
(b)ローキートーン
(c)はいキートーン
第3章|テクニック編
1.映像の基礎知識
(a)映像のアスペクト比
(b)テレシネ変換とフィルムスキャン
(c)キネコとフィルムレーディング
2.画面サイズ
(a)画面サイズの種類
(b)カットの種類
(c)ショットの種類
(d)イマジナリーラインの理解
3.映画撮影の基礎的パターン
(a)フィックス
(b)パン
(c)ティルト
(d)ズームアップ、ズームバック
(e)トラックアップ、トラックバック
(f)フォロー
(g)フレームイン、フレームアウト
(h)フォーカスイン、フォーカスアウト
(i)手持ち
4.キャメラテスト
(a)画面サイズの決定
(b)全体のルックを決める
(c)キャメラの選択
(d)機材チェック
(e)フレームテスト
(f)レンズの選択
(g)ピン打ち
(h)ダイナミックレンジ
(i)人物のテスト
(j)エフェクトテスト
(k)キャメラテスト
5.Log(ログ)の撮影
(a)ログの概念
(b)デジタル・インターミディエート
(c)Logカーブ
(d)Lut(Look up table)
(e)各社のログカーブの比較
(f)Rawでの撮影
6.キャメラフィルター
(a)NDフィルター
(b)偏光フィルター
(c)エフェクトフィルター
(d)カラーコンバージョンフィルター
(e)色温度補正フィルター
(f)CCフィルター
(g)白黒フィルター
7.デジタル撮影の画像
(a)解像度
(b)階調
8.動画の構図
(a)基本的な構図
(b)動画における構図
9.レンズの収差
(a)ザイデルの5収差
(b)色収差
(c)レンズの構成
10.光質のコントロール
(a)直接照明
(b)間接照明
11.照明用フィルター
(a)色温度変換用フィルター
(b)光質変換フィルター
(c)色彩効果用フィルター
(d)光量変換用フィルター
(e)蛍光灯補正用フィルター
12.時間帯、季節感の表現
13.モニター
(a)モニターの役割
(b)波形モニター
(c)ベクトルスコープ
(d)ヒストグラム
14.撮影時のトラブル
(a)小絞りボケ
(b)フリッカー現象
(c)フラッシュバンド
(d)ブロックノイズ
(e)ゲインアップノイズ
(f)ローリングシャッター現象
(g)白トビ
(h)黒つぶれ
(i)手ブレ
(j)オートフォーカス誤作動
(k)レンズ補正不対応
第4章|映像表現編
1.劇映画の撮影
(a)撮影前の機材チェック
(b)クランクイン
(c)劇映画の露出計測
(d)劇映画のフォーカス送り
(e)劇映画の注意事項
(f)撮影後の機材手入れ
2.ライティングの様々な考え方
(a)3灯照明
(b)ソース・ライティング
(c)アベイラブル・ライティング
(d)プラクティカル・ライティング
(e)モチベーテッド・ライティング
(f)動く光によるライティング
3.特機
(a)クレーン
(b)リモートヘッド
(c)ドリー
(d)移動車
(e)ミニジブ
(f)イントレ
(g)ステディカム
(h)モビ、ローニン
(i)その他の特機
4.印象的なイメージ
(a)日常から学ぶ灯り
(b)朝のイメージ
(c)昼のイメージ
(d)夕方のイメージ
(e)夜のイメージ
5.ハイスピード撮影と微速度撮影
(a)駒落としと微速度撮影(タイムラプス)
(b)微速度撮影の方法と考え方
(c)微速撮影の計算
(d)ハイスピード撮影
(e)「中学生円山」における微速度撮影
6.「探偵はBarにいる」の撮影と照明
(a)昼間のロケセット
(b)昼間のロケーション
(c)夕方のロケセット
(d)夜のロケーション
(e)夜のロケセット
第5章|撮影現場
1.撮影準備
(a)撮影者の役割
(b)撮影設計
2.ロケハン
3.撮影スタッフ
(a)撮影助手
(b)照明部
(c)特機部
4.照明機材の選択
(a)ロケーションでのライト選択
(b)セットでのライトの選択
(c)ロケセットでのライトの選択
(d)グリップ機材、アクセサリーの選択
5.東京藝大大学院映像研究科 映画専攻の実習から
(a)作例集
索引